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essay84 設計事務所の名前について
「青木さんの事務所の名前って、『建築研究所』って変わった名前ですけど、なんでですか?」

時々そんな質問を受ける事がある。
確かに僕の事務所の名前は『青木昌則建築研究所』だ。『青木昌則建築設計事務所』ではない。
設計事務所を開設するにあたっては一級建築士事務所、あるいは二級建築士事務所なんていうように都道府県に申請して登録しなくてはならないが、その時に自分で自由に決める事ができる。

まあ、分かりやすさで言えばやっぱり『~建築設計事務所』だろう。他にも『~設計』とか、『~設計室』、『アトリエ~』、『~建築工房』とかも比較的多い。僕の事務所の『~建築研究所』という名称も設計事務所の中では決して特別に変わった名称でもなく、まあよくある名前です。もっとも有名なのはなんといっても世界の建築家、安藤忠雄(1941-)の『安藤忠雄建築研究所』だろう。孤高の建築家、白井晟一
(1905-1983)もやはり『白井晟一建築研究所』という名称である。他にも有名なのは『齋藤裕(1947-)建築研究所』だろうか。僕の周りにも何人かこの『建築研究所』という名称を使っている。

事務所の名前を決める時に『建築研究所』では通りが悪く、何だか設計事務所ではなくてどこかの研究機関か何かに誤解されないだろうかという点も考えましたが、やっぱり単に仕事として設計を引き受けるのではなくて、常に建築と真正面から向き合い、探求し続けていこうという思いがあって『建築研究所』という名称に決めました。最初は『建築』という名前も省き、単なる『青木昌則研究所』にしようかと考えていたけれど、さすがにそれでは何のことやらわかりにくいなと思い止めました。(笑)

人によってはいろいろと考えて事務所の名前を決める人がいますが、僕は基本的には普通の名前、つまり自分の本名と事務所を表わす名称の組み合わせというのが良いなとはじめから思っていました。建築と一緒で普通はその先ずっと残っていくものなので、これでもかと頑張ったような名前だけはつけたくないなと。普通が良い。そしてある程度堅い名前が良いなと。
これまた世界的な建築家、伊東豊雄(1941-)も独立当初は『アーバン・ロボット』なんていうどこかのロック・バンドみたいな名前でしたが、しばらくして『伊東豊雄建築設計事務所』というごくありきたりの名前に落ち着きましたからね。

事務所の名称に自分の名前を、しかもフルネームで入れる事は個人的な部分をさらけ出してしまうようで実は少々抵抗があった。でも僕は自分の事務所をあまり組織としては考えていない。あくまで僕個人のものであり事務所はその僕をサポートするためのものという考えですね。そしてそこには僕個人としての責任を明確にする意思表示として名前を事務所名に入れました。結局、建築家というのは『個人』なんだと僕は考えているからです。しかも組織に属さない自由な個人という立場です。

もちろん人様の事務所の名前についてどうこう言うつもりはありませんし、「事務所の名前に『建築研究所』なんて入れなくても俺は建築を追求してるよ!」というご意見にもまったく反論するつもりもありません。つまりは事務所の名前なんて建築を設計する上ではまったく関係ないという事ですね。(そんなの当たり前ですがね・・・)
だから突然「君の事務所は明日から『青木昌則建築設計事務所』にしなさい。」と言われたとしても、「まあ、いいかな・・・。」と思うだろう。「なんであなたにそんなこと言われなくちゃならないのだ!」とは思うけれど(笑)。
でも『アーキテクト・JAPAN』とかいう名前にしなさいなんて言われたら、やっぱり嫌ですけど・・・(笑)


(2010.3.1)

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