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essay79 普通につくる事
先日のオープンハウスの時にある方から

「こだわりは何ですか?」と訊かれ、

「普通につくる事です。と僕は答えた。


「普通につくる事」


この厳しい世界で生きている建築設計事務所の人間の言葉には聞こえないかもしれません。

でも僕はきっと皆さんが考えている以上に現実的です。

ディテールを考える時は常に「長持ちする事」と「シンプルである事」を考えています。

シンプルな納まりというのは結果的に長持ちする納まりを意味すると僕は考えるので、

やはり「長持ちする事」がとっても重要なキーワードになります。


ディテール図面なんか無くたって、

簡単な設計図しか無くたって、

最終的にきちんとした建物ができればそれはそれで良いと思います。

だって設計図の最終的な目的は建物をつくる事なんですから。

詳しい図面を描かなくてもきちんとした建物ができればどんなに楽だろうと実際思います。


でも僕は経験的に詳しい設計図がなければきちんとした建物はできないと考えています。

きちんと設計図を描かなくてもきちんとした建物ができる方法があるのなら誰か教えてほしいです、ホント。

そんな魔法のような方法を僕は知りませんから僕は詳しい設計図を描くのです。

そして現場で常にその検証を重ね、次の設計へと生かします。

もちろん設計をするにあたって、「美しい事」を無視する訳ではありません。

でも、「長持ちする事」や「使いやすい(住みやすい)事」をまったく無視して、

すべてにおいて「美しい事」が優先されるような設計をする事はありません。


ディテールというものは余ほど特徴的なものでない限り

あまり普通の人が気にかける部分ではないのかもしれません。

でも建築というものは常に全体と細部(ディテール)が混在して存在していて、

意識の有る無しに関わらずディテールの積み重ねが全体の空間を支配しているのも事実で、

ディテールを考える事は空間を考える事と同義でもあります。


僕の考える良きディテールというものは

あくまで前面に現れてこないようなごく控えめなもので、

そんな人が気付かないようなさりげないディテールができたらなといつも思っています。


僕はそんな実直な道具のような普通の建物をつくりたいし、

これ見よがしに飾り立てる事も、無駄なコストの使い方も実直な道具には不要なものです。

でもディテールまできちんと考えられた建物というものは、必ずそれが現れてきます。

空間の密度と言うか、湿度と言うか、奥行と言うか・・・。

いや、自分がそれほどの建物をつくっているとは胸を張って言えない自分もいますが、

やっぱりそうありたいとは思っています。

なかなかうまくいきませんよね、建築って。

手強い相手です・・・。

だから自分にできる精一杯の事はしておきたい。


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