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essay74
インプとランエボ
前回のエッセイで書いたように、

実は昨日

この「インプ(スバル・インプレッサ)とランエボ(三菱ランサー・エボリューション)」

というテーマでエッセイを書いていましたが、

内容があまりにマニアックになりすぎて、「ちょっとこれはなぁ・・・」と感じてしまい、

あらためて書き直すことにしました。


インプとランエボはお互いWRC(世界ラリー選手権)を戦うための市販ベース車両であり、

軽量コンパクトなボディに、ハイパワーな2リッターのDOHCターボエンジンを載せ、

4WDという駆動システムを使用して走るという点で共通しています。

僕の好みを言うと(あくまで僕の個人的な意見です)、ランエボよりもインプの方が好きだ。

どういったところが好きかというと、

ランエボが電子制御デバイスを駆使して運動能力を高めているのに対し

(もちろんインプも電子制御デバイスを使用していますが)、

インプはクルマそのものの素性が良いのです。

その一番の武器は水平対抗エンジンによる低重心である事と言えます。

ご存知のように普通の直列やV型といったエンジンは

シリンダーが縦か斜めにレイアウトされていますが、

水平対抗エンジンは

シリンダーが真横に寝そべっている形で向き合ってレイアウトされています。

そのため、重いエンジン自体の高さが低くなり、

結果としてクルマ全体の重心が下がり運動性能が上がるというものです。

また、水平対抗エンジンは、

その形状からシリンダー内のピストンの動きが、ボクサーが打ち合う様に似ており、

「ボクサー・エンジン」とも呼ばれています。

ボクサー・エンジンで有名なのはフェラーリやポルシェですが、

実はスバルもこの水平対抗エンジンにこだわり続けている数少ないメーカーのひとつです。

こういったこだわりは僕はとても好きなんです。

マツダのRX-7などにも載るロータリー・エンジンもそのこだわりのひとつで、

そういったメーカーの姿勢は僕はとても好感を受けます。


機構上の難しさから世界中のメーカーが市販を諦めたロータリー・エンジンですが、

マツダは頑なに試行錯誤を重ねて市販車両の搭載にこぎつけ、

現在もその誇りを脈々と受け継いでいます。

ロータリーエンジンはそもそも小さな排気量でハイパワーを搾り出すエンジンなのですが、

何よりの武器はそのエンジンのコンパクトさです。

コンパクトなエンジンはエンジンそのものの重さを抑える事ができるだけでなく、

コンパクトなゆえに前輪の車軸の後ろ側にエンジンをレイアウトする事が可能です。

つまり、

前輪と後輪の間にエンジンがレイアウトされるというフロント・ミッドシップ・レイアウトとなり、

非常に重量バランスの優れたレイアウトで運動性能を引き上げています。


つまり水平対抗エンジンによる低重心化も、

コンパクトなロータリーエンジンによるミッドシップ化も、

クルマの成り立ちそのものがとてもシンプルであるという事なんです。

このクルマの基本となる部分をしっかりと見極めている事が重要であり、

そうでない、後から後から余分なものを取り付けて

ひとつのクルマをつくっていくやり方とは明らかに違います。

そこには、これからつくっていくクルマに対して何をすれば良いか、

何が相応しい事かという明確な判断基準が存在します。

(いわゆる「軸がぶれない」というやつです。)

クルマをつくる上での「哲学」と呼んでもいいでしょう。


これは何もクルマをつくる時の話だけではありません。

「建築」をつくる時も全く同様だと僕は思います。

もちろん設計を含めたつくる過程において、試行錯誤という事はあります。

しかし、試行錯誤を重ねるにしろ、やるべき事、相応しい事をしっかりと基本に捉え、

これから進むべき道への舵取りをする事は必要なのではないでしょうか?

「最近の流行だからこんなデザインにしてみました。」なんていう事は絶対にしたくない。



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