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essay71
建築課の人々
建築の設計の仕事をしていると市役所の『建築課』という窓口に行く事が多い。

もちろん役所によって『建築課』という名称ではなく、

『建設課』だったり、『都市計画課』だったり、『住宅管理課』とかだったりする。

どうしてそんな所へ行くかというと、

建物を建てるにあたって前もって

『建築確認申請』というものを提出しなくてはいけないからである。

現在は規制緩和により、

市役所に限らず『民間検査機関』でも『建築確認申請』を受け付けてくれるから

必ずしも市役所に行くわけではありませんけど、昔は市役所(あるいは町役場)だけでした。

『建築確認申請』や『民間検査機関』なんていうものは

ちょっと前までは一般の人はほとんど知らない存在だと思いますが、

例の『姉歯建築士による構造強度偽装問題』で社会的に大きくクローズアップされ、

良いか悪いか、一般の人にも広く知られるようになりました。


で、その『建築確認申請』というものを市役所の『建築課』に提出しに行くわけだけれど、

そこで対応してくれる人たちにはいろいろなタイプの人がいます。

僕の場合、昔から仕事の範囲が比較的広かったので、

いろいろな場所で確認申請書を提出する事が多かったです。

だから、同じ市役所に何度も『建築確認申請書』を提出するというよりも、

初めての市役所に提出する機会がほとんどでした。


そういえば昔、僕が設計事務所で働き始めたばかりの頃、先輩のUさんが、

「建築確認申請ってなあ、許可とは違って役所が建築するのを確認するだけで、

役所は何の責任も負わんぞ。」

と僕に教えてくれました。

(「だから設計者として全責任を負うつもりで設計しろ!」という意味です。)


一応説明すると、『建築確認申請』って、

建物を建築するにあたって、設計図の一部や書類などを提出し、

前もってその建物が建築基準法やその他法令等に

違反していないかどうかを確認(審査)するものです。

場合によってはその審査の段階で『ここに手摺つけて下さい。』とか

『ここ記入漏れがありますよ。』とか指摘があります。

無事その審査が通ると『建築確認済証』という書類が交付され、

はじめて「工事を着工してOKですよ。」となる。

今はその『建築確認申請』の他にも

工事の途中の『中間検査申請』や『完了検査申請』もあります。

昔は『中間検査』なんてものはなくて、工事完了時も住宅なんかの小さな建築物は

『完了検査』という検査ではなく『完了届』という単なる届けだけでした。

しかし、そもそも着工前の書類審査だけを行って、

「工事がどうなっているかは知りません。」みたいな

昔のシステムはいかにも片手落ちという感じが否めません。

もちろんキチンとした設計士が設計と現場監理を行っていれば

それはそれで問題はないのでしょうけど、

世の中そうとばかりは限りませんよね。


話がずいぶん横道にそれましたが、『建築課』の窓口の話です。

対応してくれる役所の担当者の中には、

本当に良心的に対応してくれる人もたくさんいます。

問題を解決するにはどうしたらよいかを一緒になって考えてくれる人もいます。

でも中にはとても横柄で嫌な対応しかしてくれない担当者も少なからずいます。

(特に大きな役所になればなるほど)

ちょっと前も市役所に『建築確認申請』の相談に行ったら、窓口の担当者に

「確認申請、ここに出すの?今は民間の検査機関があるでしょ?そっちに出したら。」

と言われ愕然としました。

そりゃあ市役所で審査すれば担当者の給料は同じなのに

自分の仕事が増えるだけで嫌なんだろうけど、

そんな事ってありますか?

僕は正直その言葉の意味が少しの間うまく理解できず、途方に暮れてしまいました。

もちろん僕はその市役所に『建築確認申請』は出しませんでした。


他にも僕が20代前半の頃、ある市役所に申請前の事前相談に行った時の事です。

『建築確認申請』の申請前に建物の法規的な取扱いの事で窓口に相談に行きました。

それはいきなり『建築確認申請』を提出して審査され、

大きな設計変更などが必要な指摘事項が発生する事がない様に

事前に窓口に相談しておくというごく当たり前の行為です。

でも当時の若い僕が担当者に質問を投げかけているのに

担当者はまったくその質問には答えてくれませんでした。

その担当者は僕に

「自分は設計者ではないので、

その建物をどういった法解釈をして設計するかは分かりません。

 あくまで申請された書類や図面に対して審査するだけなので、

 確認申請書が提出されてから初めて審査するので、

その質問には答えられません。」と言いました。

僕は何も設計の複雑な部分について質問したのではありません。

あくまで建築基準法上の解釈について聞いただけです。

結局僕は事務所に戻って法令集や資料をいろいろと調べたり、

上司や先輩に聞きながら自分なりの答えを出し、

『建築確認申請書』をその市役所に出しました。

(そして上記のその担当者が審査しました。)

僕がまだまだ若造で建築基準法などの法規に

それ程詳しくなかった事も確かにあると思いますが、

それを差し引いてもその担当者の対応はとても不当だった気がします。


そういった苦い経験を糧に

僕自身はできるかぎり人に対して『フェア』な態度で接したいと思っています。

「青木さんてヒドイ!」なんて言われる事のないように・・・。



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