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一級建築士試験
ご存知のように一級建築士というのは、医者、弁護士などと同じ国家資格です。

建築士法という法律で定められ、国家試験に合格し一級建築士として登録して得られる資格です。

その試験は計画、法規、構造、施工の4科目からなる学科試験の1次試験と

その合格者が受ける製図試験の2次試験からなります。

試験は1年に1回で、1次試験は8月、2次試験は10月に行なわれます。(と記憶しています・・・)

1次試験に合格すればその年の2次試験に不合格でも、次の年の1次試験は免除されます。

但し、次の年も不合格ならば、その次はまた1次試験から受験しなくてはいけません。


一般の方のほとんどは一級建築士と聞くとそれだけで優れた設計士のように受け取るかもしれませんが、

決してそうとは言い切れません。

と言うのも、おそらく他の医師試験、弁護士試験も同様だと思いますが、

資格はあくまで資格でしかなく、医者や弁護士の能力を絶対に約束するものでもありません。

最低限の一般的な知識を知っている程度と考えた方が正しいと僕は思います。

だってそうだと思いませんか?

医者や弁護士だって、資格とは別の、その人の資質や経験などによって能力が決定付けられるものです。

そして、一級建築士試験という試験も、その試験に合格する為の勉強というものがあるのです。

これは高校受験や大学受験も一緒だと思います。


一級建築士試験を受験するには僕のように建築の大学を卒業した人は2年の実務経験を積む必要があります。

(※実務経験といっても厳密には設計経験である必要はなく、建築に携わっている程度でよい。)

僕も設計事務所での実務経験を2年積んですぐに一級建築士の試験を受けました。

1次試験の数ヶ月ほど前からそのための受験勉強に入りました。

当時は設計事務所に勤めていたので、仕事を終えて家に着くのは毎晩10時、11時でした。

家に着いて食事をして、お風呂に入っていつもすぐに寝てしまいました。

そして夜中の2時ごろに起きて朝方までほぼ毎日勉強していました。

その甲斐あってかその年の1次試験は無事合格し、晴れて2次試験を受ける資格を得ました。


2次試験の製図試験はある条件を与えられた建物(例えば図書館とかホテルとか、その複合施設とか)を

制限時間内(5時間30分だったかな?)でプランなどをまとめるというものです。

通常の設計活動でプランを5時間そこそこでまとめる事なんてあり得ません。

つまり、製図試験は通常のプランニング(設計)行為と言うよりも、

試験に見合ったプランニングをしなくてはならないのです。

そして試験では通常の仕事で設計図を描くドラフターと呼ばれる製図版(当時の主流でした)ではなく、

試験会場に合わせた小さな製図版とT定規と呼ばれる古臭い製図道具で描かなくてはいけません。

当時でもすでにCADを使用している設計士もそこそこいたと思いますが、

その時代にT定規・・・です。


そこで多くの人はこの製図試験に合格する為に専門の学校に通ったりします。

僕も毎週日曜日にその学校に通って製図試験の勉強(練習)をしました。

毎週本番の試験と同じように課題が出されて、それを制限時間内にまとめるという内容でした。

出来上がった回答(図面)を講師の先生がチェックし、採点するのですが、

僕の図面を見てある講師の先生が言いました。

「君ねえ、やりたい事はわかるよ。ここをこうしたら面白いプランになるとかね。

 でもね、試験でこんなプランを考えてたら時間がいくらあっても足りないよ。

 面白くなくても、汎用でも、試験用の無難なプランを考えないと合格はしないよ。」と。

条件を満たしてさえいればどんなにつまらない建物であっても合格となるのです。

つまり、製図の試験は普段の設計の仕事とは完全に切り替えてやる(こだわりを捨てる)必要があるのです。

場合によっては設計事務所で実務を経験するよりも

あまり設計実務を経験していない人の方がニュートラルにそういった試験を受け入れやすいかもしれません。


そんな中、僕も完全な試験用のマシンと化し、ほぼその試験用の設計をマスターしつつあり、

講師の先生も「君はたぶん大丈夫だね。」と太鼓判を押されるようになりました。

本番の試験でも無難にこなし、まずまずの手ごたえを感じていました。

がしかし、結果は「不合格」。

設計と言うのはきちんとした答えが無く、ある程度の採点基準はあるものの、

やはり採点する人の主観に左右されます。

「チクショー、何でだよー!」と思いましたが、自分でも気がつかない落とし穴があったのかもしれません。


次の年、1次試験は免除なので製図の試験に集中しました。

今年不合格だったらまた1次試験の学科を最初から勉強しなくちゃいけないと思い、

必死で製図の練習をしました。

本番の試験―

何とかプランをまとめ上げ、図面もほぼ描き終え、最後の見直しをしていた終了30分前に

問題文の与条件に僕の見落としていた項目をひとつ発見しました。

しかもそれをプランに盛り込むにはプランが大きく変わってしまい、とても時間が足りません。

「あ~、また来年学科試験から受けるのかよぉ~!」と絶望しました。

しかし、わずかな望みをかけ、大きくプランを変更することなく

最小限の変更でその条件を無理やりプランに盛り込みました。

制限時間のギリギリまで描き直していましたが、

その途中ずっと「あ~、来年も受けるのかぁ・・・。」と嘆きっぱなしでした。

でも12月に建通新聞紙上で発表された結果は何と「合格」でした。

仕事中ではありましたが、早速友人の勤める設計事務所へFAX。

「サ・ク・ラ・サ・ク」

周りの友人には「きっと他が完璧だったんだな。」と・・・。

もうあんな勉強二度としたくない。


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