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essay50
現場で何もしない人
現場では職人さんたちがそれぞれの仕事をこなしている。

大工さんは大工さんの、電気屋さんは電気屋さんのそれぞれの仕事があって、

材料にカンナをかけたり(既製品のものばかり使用する現場はカンナなんてかけないだろうなあ)、

機器や器具などを取付けたり・・・。

時には重い物を運んだり、雨の中作業したり、泥だらけになったりしながら。

でも現場で何もしない人間がひとりいます。

それは僕です。

僕は基本的には作業はしません。

どこかのテレビ番組みたいにからくり細工を作ったり、なんて事は基本的にはありません。

基本的には現場で僕のやる事といえば「見ている事」です。

現場も工事の最後の方になればさまざまな職人さんたちが現場に入り、慌しく作業をしています。

そんな中、僕がやる事は、やはり見ている事。

もちろん、簡単な誰でもできるような事は手伝う事もあるけれど、

自分ひとりが何もしないと言う何とも申し訳ない気持ちになる事も多々あります。

挙句の果てに、「ここをもう少しこうして下さい。」とか「ここはちょっと細かいですけど直して下さい。」とか言う。

あるいはより良い方法を模索して

「ここはこういった風にできないだろうか?」とか職人に問題を投げかける時もある。

ある種の職人にはただのうるさいじゃまな人間と写るかもしれない。

ある巨匠の建築家が、

「現場で設計士は決して手を出してはイカン。

 手を出せば職人の大変さがよく分かってしまい、何も言えなくなる。」と言ったのを本で読んだ事があります。

まあ、確かにそれも一理あると言えばあるのだけれど、僕はこう思う。

職人はその名の通り、専門の技術を持った人です。

施工技術のないへたくそな僕が工事に手を出すべき事ではないと思うのです。

僕の技術は見る事(あるいは見て考える事)なのですから。

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