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essay47
ケチな僕
以前にある出版社から本の掲載の案内がきた。

案内の中には本も1冊同封されていた。

案内を読むと、東海地方で多くの建築家を紹介するインデックス本みたいなものを出版するとの事で、

その本に掲載してくれないかという主旨だった。

同封された本はそのシリーズの関西版だった。


掲載する場合はプロフィールなど必要事項を記入し、

写真と掲載料(7万円だったかな?)が必要らしい。

家を建てようと考えている人はこういった本を買うだろうな、と思った。

営業的には効果があるかもしれない、とも正直思った。


パラパラっと同封された本をめくると色々な建築家が作品の写真とともに載っていた。

僕が知っている建築家は殆どいなかった。

僕はしばらく考え、案内を机の上の書類の山の上に、ポンと置いた。

結局、僕はその本に掲載する事はなかった。

きっと、僕がケチなんだろう・・・。



何ヶ月か後、また違う出版社から本の掲載の案内が来た。

こちらは装丁も結構仰々しい本で(確か値段は1万5千円と書いてあった)、

案内に載っていた第1巻にはそうそうたる建築家の名前が連なっていた。

この第2巻を発行するらしいとの事で、その案内が来たわけである。

そしてやはり、掲載料が10万円ほどかかるらしい。


何日か経って、その出版社の女性の方から電話があり、

「是非、掲載をお願いします。」と頼まれた。

でもやっぱり僕は断った。



またそれからしばらく経って、

知人の建築家の方からこの本の掲載についての相談のメールが届いた。

その人は色々な人にも相談しているらしく、どうしようか迷っている様子だった。


普通の雑誌だったら、取材協力費としてお金をくれる事はあってもこちらがお金を払う事はない。

もちろんこちらがお金を払っても営業的に効果はあるのだから、金額として決して高くないとも思う。

でも本当のところ、僕が掲載を決めるか決めないかはお金だけではない、と思う。

自分でもはっきりとは分からないが、なんとなくその出版社から伝わってくる雰囲気なのだと思う。


自分自身があまり納得できないような事に、正直言ってあまりお金を払いたくない。

でも逆に、どんなにくだらない事でも、自分が納得できる事にはお金は払える。


投資なんかの電話がかかってきた時もよく言うのだけれど、

「投資関係に全く興味はありませんし、興味のないものにお金は払えません。」と相手に伝えると、

「でもお金が増えるのはうれしいですよね?」とほとんど必ず訊かれる。

そりゃあお金が増えるのがうれしくないと言えばウソになるけれど、

株価や物価の上がり下がりに僕自身一喜一憂したくないし、

そんな暇があるならばもっと建築について考えたいと心底思う。

もちろん株などは資本経済の一部であり、その行為自体を否定しているわけではありません。

あくまで、僕個人として納得できる事かどうかという事です。

そもそも投資なんてするお金も僕にはありませんけどね・・・。

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