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essay46
戸を閉める猫
「青木様

 ご無沙汰しております。Kです。

 急に寒くなって来ましたがお元気でしょうか。

 気が付けば半年経とうとしています。早いですね~。

 (中略)

 今の季節は今日でも25度を越える暖かさで、ぽかぽかとしています。

 リビングの日向ぼっこは何物にも代えがたい気持ちよさです。

 と、ウチの猫が全身で言っています(笑)

 とは言っても、朝晩は冷えるので、床暖房は入れていますが・・・。

 この床暖房はやはり正解でした。

 リビングももちろんですが、洗面所の床暖は本当に快適です。

 畳コーナーも、お昼寝ポイントには絶好です。床だとさすがに体痛いですからね・・・。


 それでは、お忙しそうですがご自愛ください。

 近くに来られた際は是非お立ち寄りください。

                                    K    」



 これは完成して半年が過ぎた頃に届いた「吉根の家」のクライアントのKさんからのメールです。

 Kさんとは土地探しの段階からお会いしており、初めてお会いしてから家が完成するまでに

 約1年半くらいの年月を要しました。
 
 設計の打合せはいつもKさんのお宅でしていたのですが、

 打合せの度に奥さんが、ガリガリガリ・・・とコーヒー豆をひいて

 美味しいコーヒーを入れてくれた思い出があります。


 Kさんの家には当時3匹の猫を飼っていました。

 最初の頃は僕に慣れなくて、打合せの時はいつもどこかに隠れていました。

 そんなKさん宅でいつものように打ち合わせをしていた時のことです。

 少し慣れてきたのか、打ち合わせをしている時に

 奥の部屋から引き戸を開けて猫が1匹入ってきました。

 Kさんは「多分少し青木さんにも慣れたんでしょうね。」と話していました。

 そのままKさんと打ち合わせをしていると、

 僕の視界の片隅で猫がのそのそ歩いて出て行き、引き戸がピシャリと閉まりました。

 僕はビックリして、「Kさんの猫は引き戸を閉めるんですね。」とKさんに尋ねました。

 Kさんはその様子を見ていなかったらしく、「えっ?」という感じでした。

 「引き戸は開けますけど、閉めたりはしませんよ。」

 「でも、今確かに閉めましたよね?」

 「いえ、見ていませんでした・・・。でも確かに部屋の中に猫は戻ってますね。」

 僕も引き戸を閉める猫なんてはじめて見ました。

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