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essay43
理不尽な人々
以前、クライアントが土地を購入した、とある不動産屋との出来事です。


ある仕事をその不動産屋に頼むべく、前もって見積書をその不動産屋からとった。

数社との見積もり比較の結果、見積の端数(1万円程度)を値引きしてもらい、最終的な見積書をもらった。

クライアントの了解を得てその不動産屋に仕事を依頼し、無事仕事は完了した。


しばらくしてクライアントのところにその不動産屋から請求書が届いたが、

端数を値引きしていない最初の見積書の請求金額なので、クライアントから僕に連絡が入った。

僕は単純な事務手続きのミスだと思い、その不動産屋に電話を入れた。


「あのう、先日請求書が届いたんですけど、請求金額が古い見積書の金額が入ってるので、

 請求書を訂正して出し直してもらえますか?」と僕は不動産屋の社長に告げた。


電話の奥で社長と経理担当らしき若い女性の声が聞こえて、

あの請求書の件はどうなってるんだという風な会話が聞き取れた。

しばらくして、その若い経理の女性が電話に出た。


「こちらは、その請求金額の見積しかありませんので、その請求書を送りました。」と僕に行った。


僕は、「○月×日付けの最新の見積書があり、そちらが正しいんですけど・・・。」と言った。


(女性)「いえ、こちらにはそのような見積書はありません。」


(僕)「でも確かに見積書もあり、その金額でお願いしたはずなんですが・・・。

 何なら、その見積書をFAXしましょうか?」と言って僕はすぐに見積書をFAXで送った。


その後すぐに電話を入れて、「その見積書は正しいですよね?」と訊いた。


(女性)「ええ、確かにこちらの印鑑も押してあり、この見積書は間違いないと思います。」


ぼくはホッとした。「やれやれ、これで解決だ。」と。

だけど、僕は思わぬ返事を耳にした。


(女性)「でも、もうその金額で請求書を作ってしまって、決済までしてしまったので、変更する事はできません。」


(僕)「こちらは、見積書の金額しか払いませんよ。」


(女性)「見積書の金額では請求金額より不足してしまい、帳簿上まずいので、

 永久に請求書を送る事になりますよ。」


(僕)「そんな事を言っても、ミスはそちらのせいなんだし、こちらが余分にお金を払う義務はないんじゃないですか?」


(女性)「そんな事私に言われても、私では判断できません。」


(僕)「じゃあ、判断の出来る社長さんに代わって下さい。」


社長が電話口に出た。

(社長)「先生、ちょっと細かすぎない?そんな数万円程度のはした金でごちゃごちゃ言わないで下さいよ。」


(僕)「はした金って、たった1万円でもクライアントの大切なお金ですよ!」


社長は切れた。

(社長)「何だとてめぇ、もう一度言ってみろ!だいたいお前はいちいちうるさいんだよ!

 みんな請求書を出さなくても何も言わずお金を払うんだよ。

 それを請求書を出せだの、金額が違うだの、アンタんとこはどんな会社だ!

 ごちゃごちゃ言うんだったらてめぇ一回事務所に来い!」


(僕)「何で、僕がわざわざそっちに出向かなきゃいけないんですか。

 来るんだったらそっちが来て下さい。」


(社長)「てめぇ、何様のつもりだ!」(ガチャン・・・と電話が切れた)

話は途中なので、その後すぐに電話を掛け直したが、社長は二度と出なかった。

請求書を出すように言ったのも、支払先(振込先)が分からないからであり、

見積書と違う請求がきたら連絡を入れるのは当たり前だと思う。



僕は事の経緯をクライアントに説明した。

「不動産屋の社長って、あの怖そうな人ですよね・・・」とクライアント。


(僕)「いえ、僕は一度も直接会ったことがないので分かりません。」(怖い人だったの・・・。)


(僕)「とりあえず、こちらに否はないので連絡を待ちましょう。」とクライアントに伝えた。



僕は念のため専門家に相談し、事の経緯を説明した。

専門家の回答はこうだった。


「そもそも、契約というのは契約書を交わす交わさないは抜きにして、

 お互いの合意の上に成り立つものです。

 しかも、見積書を取り、その金額で仕事を依頼し、

 請求金額が増額となる正当な理由無しに、

 見積金額より多いお金を払う必要は全くありません。

 経理上の理由なんて全くのナンセンスで問題になりません。

 決済後でも未払い金として処理でき、何ら問題ありません。」

まったくその通りだと僕も思った。



クライアントには不動産屋からその後何の連絡もなく、

「とりあえず、見積金額のお金だけを支払先に支払っておきましょう。

 このままズルズルお金を全額払わないでいても決して良い結果が得られるとは限りません。

 向こうが残りの金額を請求してきたら、その時またあらためて話し合います。」

と、僕はクライアントに説明した。


(クライアント)「そうですよね。そうしてみます。

 たった数万円程度の事なので支払いできない訳じゃないですけど、

 こちらに落ち度がない上に、向こうの理不尽な態度に言いなりになるのは納得できませんよね。」



その後、すぐにクライアントは見積書の金額だけを振り込んだ。

もちろんその後その不動産屋からは何の連絡も無かった。

社長だけならともかく、経理の女性もそんな理不尽な事を言うなんて、

いったいどういう事なんだろうと、僕はつくづく考え込んでしまった。

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