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essay24
捻じ切れたキー
ちょっと前に僕のSAABのキーが捻じ切れてしまった。

仕事の用事でSAABで出かけて、用事を済ませた後、車に乗り込み、

エンジンを掛けようとシフト・レヴァーの後ろにあるイグニションにキーを差し込んだ。

そして、左手でキーを回したら、何の手ごたえも無くキーが回転してしまった。

僕は一瞬、車のイグニションのシリンダーが壊れてしまったのかと思った。

実際僕は昔、当時勤めていた設計事務所の所長のメルセデスのドアを開けようと、

ドアのキーの差込口にメルセデスの独特のキーを差し込み、

開錠しようをキーを回したら、手ごたえ無くキーが回り、

キーを抜いたら、キー・シリンダーごとズボズボッとドアから出てきてしまったことがある。

そのメルセデスは当時、決して古いメルセデスではなかった。

確か新車で買って2年くらいのものだったと記憶している。

にも関わらず、こんな事が起きてしまうんである。

僕の古いSAABに同じような事が起こったとして、僕は何も驚かなかっただろう。

でも、キーを抜いても僕のSAABのキー・シリンダーはいつもの通り、変わったところは見受けられなかった。

「あれ?」と思い、もう一度キーを差し込もうと思った瞬間、僕は本当に驚いた。

キーが根元から捻れて切れてしまっているではないか。(正確には首の皮一枚でつながっていた)

いくら古いクルマ(もうほとんど15年近い)だからとはいえ、

キーが捻じ切れてしまうなんて、と僕は正直思った。

でも、よくよく考えれば、思い当たる節もある。

僕のSAABは長い年月の間、いくつかのトラブルを発生し、道の真ん中で止まってしまう事も何度かあった。

その度に、「エンジンよ、掛かってくれ!」とばかりに思いっきりキーを捻っていたのだと思う。

それが積もり積もって、また長い年月も重なり、キーなりに負担が掛かっていたのだろう。

僕のまったくうかがい知ることのない所でキーは疲弊していたのである。

そして突然、ついに力果ててしまったのである。

・・・。



僕はJAFに電話して近くの鍵専門の業者を紹介してもらい電話をかけた。

幸い、キーが捻じ切れてしまってもスペア・キーは作れるとの事なのでホッと安心した。

今いる場所を説明しようと周りを見渡し場所を説明していると、

隣りに「〇〇金物店」という看板が出ていた。

僕がその金物店の店の名前を告げようと、看板を眺めていると、

「住宅、車のスペア・キー作ります」と書かれていた。

電話の専門業者に事情を説明し、電話をいったん切り、その隣りの金物屋に飛び込んだ。

中からおじさんが一人出てきて、僕の捻じ切れたキーを眺め深いため息をついた。

「壊れる前ならねえ・・・。これじゃあ、ウチではどうしようもないねえ。」と深刻そうに僕に告げた。

「そうですか・・・、ありがとうございました。」と店を出て、再び先ほどの専門業者に電話した。

車種と年式、僕の携帯電話の番号を伝えて、担当のものから折り返し返事をすると言われ電話を切った。

しばらくして、その専門業者から電話が入った。

「外車の担当の者が一人いるんですけど、午後の2時以降じゃないとダメみたいです。(その時は午前10時半)

それと・・・、外車ですし、出張料が4万円くらい掛かるんですけど・・・。」と、僕に告げた。

いくらなんでも、僕にとって4万円は高すぎる。

タクシーで家まで帰って、スペアキーを取りに戻っても、タクシー代の方が安いし、時間も早い。

僕はその専門業者に断りの意思を告げた。



僕は家にいる家内に電話して、

「SAABのキーが壊れちゃって、車が動かないんだけど、交通の不便なところだし、

 SAABのスペア・キーを持って来てくれないかなあ。

 申し訳ないんだけど・・・。たぶん車で片道1時間くらい掛かると思う。」

と、お願いした。

「出かける用事は無いから、いいよ。」と家内は言った。

きっかり1時間後、家内はザフィーラでやって来た。

「ありがとう、ありがとう。」と感謝しながらSAABのキーを受け取り、SAABのエンジンを掛けた。

「ヴォ~ン!ボボボボボ・・・」とエンジンが掛かった。(ホッ)

家内が用事で出かけていたら、地下鉄と電車、バスを乗り継いで4時間くらいで往復するか、

高いタクシー代を払うところだった。

もちろん帰りに家内にはお詫びにお昼をご馳走した。

もちろん4万円に比べたらずいぶん安い。



SAABに乗っていると、時々これと似たようなあまり嬉しくない出来事が不意にやってくる。

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