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essay22
メディアというものについて
独立して建築家という仕事をするようになり、こんな僕でも時々(極稀に)雑誌やテレビなんかの取材を受ける事がある。

そういった経験がある人ならばきっと分かると思うけれど、

メディアとしてテレビや雑誌に出た自分の言葉や記事が、

ちょっと自分の考えている事と微妙にずれているという違和感を持つ事が多々ある。

もちろん、メディアに載る記事はインタビュアーなり、記者なりが取材に基づいて文章を考え、記事にする。

当然、インタビュアーなり、記者なりの主観を通して記事となる訳である。

つまり、記者がその記事において伝えたいものを雑誌のコンセプトなどを考慮しながら構成し、

それを文章としてまとめていく訳だから、

そのコンセプトや構成に基づき、取材内容を切ったり、貼ったり、編集していく事になる。

その結果、取材の時に答えた僕の生の言葉と、文字として載った僕の言葉は

微妙なニュアンスの違いが生じる事になる。

その差は殆ど僅かな場合と、結構大きい場合がある。

事実に忠実と思われる新聞においても、きっと大なり小なりこのズレは生じていると思う。


でも僕は決してそれを否定しているわけではない。

活字となる前に編集者から文章の校正が来る場合が殆どなのだけれど、

余程の間違いや、ズレが生じていない限り、僕は殆どそのままOKを出す。

それは、好むと好まざるとに関わらず、記者が感じた事そのままだからである。

感じた事をそのまま書いているだけであるから、僕が一々とやかく言う必要は無い。

住宅雑誌はその読者が割と真剣に読んでいるから、雑誌の内容も割とまじめである。

「僕が言いたかった事とちょっと違うけれど、まあいいか。」という感じである。

逆に、上手く引き出してくれる場合もある。



以前、半年後に全国ネットのゴールデンタイムに始まるという民放の住宅バラエティ新番組の製作会社から、

ちょうどその時進行中だった僕の関東圏にある住宅の仕事の取材についての連絡が来た。

その時聞いていたのは、

新しく始まるその新番組はとてもまじめな住宅情報番組である事、

工事の最初から完成までをドキュメント形式で製作する事、

取材費としてクライアントにある程度の金額が支払われる事であった。

その進行中の住宅はローコストであったので、取材費で少しでも予算に余裕が出ればという思いも僕にはあった。

ただ、その仕事は既に着工直前という事もあり、製作スタッフの準備などが間に合わず、

結局スケジュール的な問題で、取材は行われなかった。


半年後、その新しく始まったその新番組を僕はどんな番組だろうとテレビで見た。

僕が考えていたまじめな住宅情報番組とはだいぶ違って見えた。

画面では、何だか知らないけれど現場で大問題が発生したり、

色々な出来事が面白おかしく演出されて映し出され、大仰なナレーションが入っていた。

それは視聴率を取らねばならないゴールデンタイムのテレビの宿命でもある。

僕は今さらながらに、その事に気づかされた。

僕はそういったバラエティ番組が全く間違っているとは思わない。

でも少なくとも、その中に自分の身を置くことは避けたいと僕は思う。

もちろんそう思わない人の考えも僕は否定しないけど。


「世界の車窓から」のような等身大の住宅番組があったらとても素敵だなと、僕は個人的に思います。

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