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納まり
建築には「納まり」という言葉がある。

一般的には馴染みのない言葉だけど、建築の世界ではよく使われる。

「納まりが良い」とか「納まりが悪い」、あるいは「納まっていない」などと使われる。

「納まり」とは簡単に言うと、物と物とがぶつかる部分のディテール(詳細)の事であり、

主に開口部(窓やドアなど)の枠廻りや、仕上が変わる部分、仕上の端部などを指す。

「納まり」は単なるディテールではなく、そこにはいろいろな意味合いがある。

建築のディテールを考える時、そこにはデザインだけでなく、他の様々な基準をクリアしなくてはならない。

それは施工的な事だったり、性能的な事、強度的な事、コスト的な事、水(雨)仕舞い的な事など。

それらの事を踏まえてディテールを決定していく訳である。

つまり、施工上難点があったり、水仕舞いに難点があると、

「納まっていない」、「納まりが悪い」などとなる訳である。

納まっている状態ではじめてデザイン的な要素が使える訳で、

納まっていなければいくらデザイン的に良くてもそのディテールは使えない。

これが建築のデザインの難しさのひとつと言えるかもしれない。

そして納まりが良く、尚且つデザイン的にも優れたディテールが空間を引き締める事も確かです。


建築設計に携わる人なら知らない人はいない、アメリカの巨匠ルイス・I・カーン(1901-1974)という建築家がいる。

彼の建築そのものは、僕にとって好きではあるけれど、

それほど大好きというほどのものでもないというのが正直な気持ちである。

しかし、彼の偉大さは僕の心を打ちのめすほどの凄さを持つ。

「ディテールに神が宿る」という言葉があるけれど、彼のディテールは正しく神が宿っているがごときものだ。

そこには厳粛なほどの強いエネルギーが込められている。

光の扱いが上手い事で彼はよく知られているが、

異なる素材の取り合い部分のディテールが上手い事でもよく知られている。

カーンの元で働き、弟子でもあった工藤国雄さんと昔、何度か一緒に仕事をした事がある。

工藤さんは当時、主にアメリカのコロンビア大学で教授として仕事をしていたのだけれど、

日本に来た時に、その工藤さんから、カーンについて当時いろいろと話を聞いた記憶がある。

それらのエピソードはとても人間的なカーンを表わすものだったけれど、

中にはカーンの建築に対するエネルギーの大きさを感じられるものもあった。


建築は、全体のプランニングやデザインなども大切な要素だけれども、

この納まりのよいディテールの良し悪しが、建築家の力量を量るひとつのものさしでもある。

そう思うと、自分の力の無さを痛感する。

どうして彼らのごときディテールができないのか・・・と。

建築の仕事に携わるようになって15年以上が経ちますが、まだまだ・・・です。

まだまだ勉強です。

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