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essay7
設計図
僕が働き始めた当時もすでに、

設計図用の用紙はトレシングペーパー(いわゆる洋紙と言われた)が主流だったけど、

そこの事務所はずっと製図用の和紙だった。

トレシングペーパーに比べて和紙は薄く柔らかい。

梅雨時なんかになると湿気で製図用紙がシワシワにになる事もよくあった。

でも、Bくらいの柔らかめの鉛筆(シャープペン)の芯で書くと紙へのノリが良く、図面の表現がしやすかった。

それに比べてトレシングペーパーは硬く扱いやすいのだけれど、

HBくらいの芯で書いても、線がボロボロになりやすい。

和紙のようにスーっとしたきれいな線は書きにくい。

今ではCADで書いた設計図をインクジェットプロッターで出力するので

僕もトレシングペーパーを使用している(鉛筆のノリなど関係ないし、そもそも和紙はプロッターに使えない)。

でも良くできた手書きの図面が好きだった僕は、

あの表情豊かな和紙の図面がとても懐かしく感じられる。

CADで図面を書く今でも、

その時の手書きの図面の表情の豊かさを求めて書いている(と言うか、正確には入力している)。


書家でもあった建築家・白井晟一の図面なんかは本当に美しい。

もちろん見た目に美しいだけでなく、細かいディテールにいたるまで白井晟一のこだわりが感じられる。

良い建築を見るのと同様、良い設計図を見ると元気になる。

設計図に設計者の思いが込められているからだ。

もちろん、出来上がる白井晟一の建築も良い。

東京の渋谷にある彼の設計した松涛美術館なんかは、

昨今のさらっとした建築と比べるとさすがに濃~い感じはするが

良い建物だ(渋谷といってもとても静かな住宅街にひっそりと建っている)。


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